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【大人が出逢う、東京古着】中目黒・the mixが感覚に訴える、今すぐ着たい1着


オンシーズンの桜で賑わう目黒川沿いも素敵だけど、
今日の目的は、満開の桜に負けず劣らぬ色を1年中咲かせている小さなお店。商店街の中頃にあるTHE MIX nakameguroだ。



入った一歩目から、色に包まれて、ドキドキとしてしまう空間。
ピンクとイエローが対になった鮮やかな壁、そこに所狭しと左右にぎっしりと並べられた洋服たち。
エントランスからキャッシャーまでが一直線の店内は、まるで世界観が作り込まれたランウェイのよう!



6年目を迎えるここ、THE MIXオーナーのコヅキさんは、コレクションブランドに関わる仕事を始め、自身のブランドを立ち上げたりと、長年ファッションに携わって来られたスペシャリスト。
では、なぜこのタイミングで古着に?
そんな質問のコヅキさんは、笑いながら答えてくれた。
「ずっと好きだったんですよ」



ずっと好きだったからこそ、仕事にしたくなかった。
でも、業界に長くいる中で、得意なことを、好きなことをやればいいんだ、って思った瞬間があった。その瞬間に乗ってみたら、うまくいったのだと。
“好き”っていう何よりも強い才能は、不思議なほど、次々と物事を動かしていく。



中目黒という場所に決まったのも運命的なものがあった。
はす向かいにある老舗の古着屋ジャンティークやエバーグリーン。
ヴィンテージフリークの心を掴んだオーナーたちの少し下の世代だったというコヅキさんは、10代の頃からここでファッションやカルチャーを感じてきたという。
「ファッショニスタで賑わう街で、いろんな刺激を受けましたし、とても思い入れがある場所だったんです」
そんな折にこの物件に出会い、ことは進んで行ったのだという。
それは、コヅキさんの歩んできたヒストリーが裏付いている街で、新たなヒストリーが生まれた瞬間だった。



スペースこそ小さいけれど、どれもが「わたしはここよ」と言わんばかりの個性を放っていて、厳選されてここに来たのが見てとれるアイテムたち。
THE MIXの魅力は、常識や大きなものに流されず、かつ手に取る人が何かひっかかるもの。



コンセプトもなければ、買い付け先も決めない。
その代わり、データはしっかり出す。
これまであらゆるファッションを見てきたオーナーならではの、実験的なトレンド千里眼と、人が求めるものをキャッチするアンテナこそがセレクトの決め手なのだ。
コレクションピースのような着られない上質な服や、とにかく古いもの。
そういうのもいいけれど、服はやっぱり着てほしい。
気軽に手にとって、何度も腕を通してほしい。
そんな思いから3万以上の服は置かないのだとコヅキさんは言う。



芯の通った哲学にはもちろん、これまで買い付けに行った国や行く予定の国を聞いて、そのユニークさにさらに驚く。
ウズベキスタンやアフリカや中国。連載史上聞いたことのない、国々だ!
買い付けに行くのはオーナーだけではなく、チーム編成なのだという。
1人で買い付けに行って小回りが利かなくなるよりも、誰が選んでもいようにしたい。チームの中でセレクトの流れや温度を共有してお店を作りたい。
そういう思いもTHE MIXの色だと思う。



「こういうのやってみたい、次はこれを打ち出してみたい、っていうアイデアはたくさんあって、世の中の流れを見ながら時期をはめ込んでいく感じです。
足りなくならないように、統計を出したり、例年の消化率を出して、買い付けの数を決めたり…」



考え抜かれた“打ち出し”は、まるでコレクションブランドのようでもある。
そして、誰のために考えるのか。
それは、お店に来る人たち、その1着を手に取るかもしれないお客さんのため。
お店に来る人に何か刺さるものを。
コヅキさんが手間を惜しまないのは、古着と古着を愛する人への愛と敬意だと思う。



去年は、前開きでマキシ丈のワンピースばかりを150着、今空前のブームが来ているヨーロッパのコットンブラウスは、ブームよりはるか前のオープン当初からずっと変わらぬスタメンで、春夏で年間200枚を買い付けるのだという。



「今年は、去年一切やらなかったピンクがやりたいなって」「素材はちょっと透けたものやナイロンが気になってて…」「109系のギャル服の古着っていうのもやってみました」
コヅキさんからは、やってみたいことが湯水のように溢れ出る。
「やってはみたけど、全然刺さらなかったことや失敗もありますよ」 そう言って笑うコヅキさんを見て、本当に古着が、服が好きな人なんだなと強く思った。



抜け落ちてしまうジャンルを拾いたい。誰かに刺さるかもしれないから。
今日はからっきしでも、明日はぐさっと刺さるかもしれない。
ファッションってとてもいい意味で“分からないもの”だ。
コヅキさんから教わったのは、そんなファッションの分からなさとそれゆえの面白さ、“分からないからこそ、楽しい”ということだった。



お店の放つセンスや土地柄も相まって、スタイリストや女優やミュージシャンなども度々訪れるTHE MIX。
「でも一番嬉しいのは、一般の人が古着をたくさん買ってくれるように、着てくれるようになったことです」
取材の中でコヅキさんは2度そう言った。
昔に比べて“通”の人だけのものじゃなくなったけど、いいものが多くの人に愛されているのは純粋に嬉しい、と。



着る人の心をつかむもの。
それは、選ぶ人の自由な発想と妥協なきこだわり、そして、考える人の愛と挑戦で生まれているのかもしれない。
ランウェイのようなお店を出てもなお続く、ストリートという名のランウェイ。
今すぐ袖を通して、街に出たくなる服との出会いは、誰でもない“私”を主役にしてくれる。




チェックジャケット ¥12,000+tax


ピンクジャケット ¥9,000+tax


コットンブラウス ¥8,000+tax




Photo:Kayo Sekiguchi
Edit:Namiko Azuma(ASOBISYSTEM)
Text:Miiki Sugita
Design:Yuko Abe(ASOBISYSTEM)

 

INFORMATION

 

THE MIX nakameguro

住所:目黒区上目黒2-44-5
電話番号:03-6412-8581
営業時間:1300
Instagram: @the_mix_nakameguro