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【大人が出逢う、東京古着】 池ノ上STRANGERが提案する”スタイル”としての古着


古着って、つくづく“縁”だと思う瞬間がある。それは服だけじゃなく、人も。一晩寝てもどうしても忘れられないT シャツがあるように、一度会うと、もっと話を聞いてみたくなる人っているのだ。
どういう人生を歩んで、どんな風に古着に出会ったのだろう。
どういうこだわりを持って、どんな時代や文化が好きなんだろう。



STRANGERのオーナーである岩尾さんに初めて会ったのは、カメラマンの関口さんのお誘いで、別のカメラマンさんの個展にお邪魔をした時だった。
風景も人も素敵な写真ばかりで見惚れながら、ご本人とも少しお話ができた。
おしゃれな方だったので、ついでにオススメの古着屋さんを聞いてみた。
「池ノ上のSTRANGERはオススメですよ」



そう言われて、インスタグラムを見ながらメモをとって、ギャラリーを後にしようとした時、入れ違いに人が入ってきた。
「あ、さっき話してたSTRANGERのオーナーさんです!」
着ている服が、本当に体の一部のように自然に馴染んでいて、それでいながらものすごい存在感!
この縁に感謝しながら、すぐに連載の話をして、来る取材日を心待ちにした。岩尾さんが立っているのは、どんなお店なんだろう!



池ノ上駅から歩いて3分ほど。セブンイレブンのすぐそばのビルの2FにSTRANGERはある。営業時間は14時から22時。ミュージシャンやクリエイターなど、幅広いアーティストをも魅了する隠れ家的なお店だ。



オープン当初お店があった幡ヶ谷から池ノ上に移転して2年。
「うちは物件ありきですね。箱の雰囲気重視でここに決めました」
岩尾さんがそう話してくれたように、空間そのものが持つ雰囲気も魅力の一つだ。買い付けの本拠地であるニューヨークの古着屋やギャラリーから構想を得つつ、リノベーションはずっとお世話になっている内装屋さんに協力をしてもらい、イメージを伝えながら作り上げたという。



クリエイターさんの作品を展示したり、撮影に空間そのものを提供したり、ギャラリーやスタジオとしての提案も行っているという。
「古着屋がこうでなければいけない、そんなことってないと思うんです。型にはハマらない、制限をしない。店も服も空間も“スタイル”として売っていきたい。」
そんなオーナーの拓けた人柄とこだわりは、アイテムのセレクトにも滲み出ている。



「ニューヨークでリアルに感じたことを、今の東京に落とし込む。そういう意味での“ストリート”は意識しています」
ユニセックスに、自由に。人に、街に馴染むような着ていて心地のいいものを。
今、気になっているテイストや、好きなものと古着を融合させたり。
新しいものと混ぜて着てもいい。





まだ多くには知られていないけれど、とても素敵なアートとアーティスト。
そういう存在をフューチャーし、発信する。
岩尾さんがニューヨークで出会ったアーティストCamilla Engstromさんは、フォロワー2.5万人を誇る、注目のイラストレーターだ。
日本で手に入るのは、STRANGERだけ。
気の抜けた表情と愛らしいフォルム。イラストも刺繍もなんとも言えない愛着がある。
岩尾さんは、きっと来る近い未来を夢見ながら、言った。
「いつか彼女の個展をここでやりたいんです」



「好きなものや、それに触れて感じる事を発信したいという思いもあって、お店を持つようになった」
そういう角度から古着と出会い、関わってきたという岩尾さん。
スタイルが見えるセレクト、スタイルが見える着方、スタイルとしての古着。それは、つまるところ、“生き方”というのに近い気がした。
どんな人と文化に出会うか、どんな出会いで人は変わるか、好きなものをどう愛するか。STRANGERは、生き方そのものが詰まったお店だ。



ご本人を見て、またはお店に入ってすぐ察知する方も多いだろう。
岩尾さんは無類の音楽好き、バンド好きだ。
古着を着ていたバンドのスタイルに見惚れて、10代から古着に関わるようになったという。



「うちの休みは、フジロックの日!」
そう笑う岩尾さんの元には、不思議とバンドや音楽好きが集まってくるという。そして、アーティストとの縁も。
フジロック前にSTRANGERに古着を買いに来たアーティストさんが、その古着を着てフィールドオブヘブンのステージに立つこともある。
“好き”って引力だ。何よりも無敵な引力だと思う。



右からRED HOT CHILI PEPPER(¥24000)、NIRVANAが2枚(¥18000、¥24000)、RADIO HEAD(¥32000)


そんな岩尾さんのセレクトだからこそ、着てみたいアイテムもある。
ヴィンテージのバンドTシャツは、どれも、あるだけで貴重なものばかりだ。
「音楽と古着は自分にとってはとても密接です。だから、古着を交点に、ミュージシャンやクリエイターとの交流が生まれることはすごく嬉しい。やりたいことの一つが形になったなっていう感じです」



「自分にはこれまで生きてきた人生があって、その中にこだわりがあって、自分なりのスタイルを持っているけど、お店に来る人はどんな人でもいい。どんなきっかけでもいいって思ってるんです。」
お店の客層を訪ねた時、岩尾さんはそう話してくれた。
古着屋さんのオーナーさんは、爆発的に個性的で、どこまでも自由で寛容で優しい。岩尾さんももれなく、その一人だった。



カッコイイ人がいるお店って、知っていて損はないと思う。
人は人に惹かれて、影響されるものだから。
出会いも服も、そうして自分が選ぶもので自分は出来ている。 生き方は出来ていく。
「古着が初めてっていう人でももちろんいい。その分自由な発想で、今気になる古着を今着たいように着てくれたら。そういうものがいつか自分だけのスタイルを生んでいくと思うんです」



—STRANGER。
店名の由来は、岩尾さんが大好きな映画監督ジム・ジャームッシュの『ストレンジャー・ザン・パラダイス』。
「[STRANGER]には、ちょっとスラング的だけど異邦人とか放浪者とかの意味もあります。何処かに属す事もなく、自分の信念や思いのままに、言葉が、行動が、旅して行くように思いを込めて付けました」
そう、ここは旅と同じ、まだ見ぬスタイルへ導いてくれる場所。
知らないことが武器になる、知らないことだけが、新しさになる。
だから、知らない人にこそ知ってほしい。
STRANGERから始まる、今までになかった“生き方”というスタイルを。


Photo:Kayo Sekiguchi
Edit:Namiko Azuma
Text:Miiki Sugita

 

INFORMATION
 

STRANGER
住所:世田谷区代沢2-36-26小坂ビル208
電話番号:03-6337-3766
営業時間:14:00−22:00
定休日:月曜日