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【2月公開の注目映画】編集部のおすすめ5選

©2016 Twentieth Century Fox Film Corporation.

 

1.『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』

圧倒的な世界観と映像美で、瞬く間に私たちを内側の世界に引き込むティム・バートン作品。そんな彼が次に挑んだのは、“ティム・バートン史上最も奇妙”な、愛と友情のダークファンタジー。

空を飛んだり、空気を操ったり、透明になったり。
予知したり、時間を巻き戻してみたり。
その“奇妙”な見た目や動きにドキッとしたことも、別段変わったことでもないような気になり、最終的には、愛おしくてたまらなくなってくるから不思議だ。これぞ、ティム・バートンマジック。

映画からの帰り道。
少し前に3歳の娘と夜の公園を通った時、「ママ、公園が夜になったよ」と言われたことを思い出していた。
こどもが持っている、枠も形もない発想と果てしなく自由な感性。
夜の公園は暗い、じゃなくて、公園が夜になる、と思っているこどもの伸びやかさと迷いのなさ。この映画はそういうものに溢れている。

“はみ出ていること”が気になるようになるのは、いつからだっただろう。
“受け入れられないこと”を恐れるようになったのは?
時間も常識も切り落として、縦横無尽に生きている“奇妙なこどもたち”は文字どおり奇妙で、可愛くて、そして、羨ましくなるほどたくましい。

▼あらすじ
なかなか周囲に馴染めない孤独な少年ジェイク。彼の唯一の理解者であった祖父が、ある遺言を残し、謎めいた死を遂げてしまう。
祖父の残した言葉に従って、ある島をを訪れたジェイクを待っていたのは、 森奥の屋敷に住む奇妙で可愛い小さな友達だった。
彼らの不思議な能力を知ったジェイクは、彼らが1940年の9月3日を毎日繰り返していることとその理由を知る。そして、目に見えない危険が迫っていることにも…。
自分がこの世界に送り込まれた役割とは何なのか。真実が明らかになったとき、永遠に続く1日と奇妙なこどもたちに大きな変化が訪れる。

▼Information
『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』
TOHOシネマズ日劇他全国上映中!
監督:ティム・バートン
出演:エヴァ・グリーン、エイサ・バターフィールド、サミュエル・L.ジャクソン、エラ・パーネル、ジュディ・デンチ、テレンス・スタンプ



©2017「恋愛奇譚集」フィルムパートナーズ


2.『恋愛奇譚集』

奇譚とは、不思議なこと、珍しい話を意味する。
そう、これは恋愛をめぐる、少し不思議な話だった。
そして、見ず知らずの土地にやってきた1人の少女が、
形のないものに導かれて、ここにいる意味を見出すまでの物語。

まだ日本語も覚束ない、台湾からの交換留学生のユーウェンには、唯一心を許して話せる友達がいた。赤いコートを着た、同じ歳くらいの女の子。
彼女にだけは、全部を打ち明け、言葉を超えて、何もかもが伝わった。
他人には見えなかった、彼女の姿と二人の絆。
2人が動かしていく、止まったままのひとつの恋愛。

キャストの中でも、ひときわ女優陣に心を打たれたのは、単に私が女であり、恋愛中だからかもしれない。でも、“恋愛”奇譚集という映画である限り、それでいいのかもしれない、とも思った。
台湾人留学生を演じたヤオ・アイニンを始め、福田麻由子、内田慈、遠藤新菜。恋や愛の最中にいる、いつも濡れているようにも見えるし、何だか乾ききっているようにも見える女の表情が生々しく、美しく、切なかった。

見えないものの方が本当は消えなくて、
触れられるものの方が本当は不確かで。
わかっていながら、私たちは形のあるものに手を伸ばし、引き寄せ、唇を重ねて、またその手を強く握る。
それらを往来しながらいつも、誰にも触れられないところで、想う人と強く強く繋がりたいと切望している。
体のどこにあるか知らない、写真にもうつらない、心のどこかで。
輪郭のない確かさで。

▼あらすじ
台湾から交換留学生として福島県天栄村の高校へやってきたユーウェンは、ホームステイ先である古川酒造の三代目、涼太とうまくコミュニケーションが取れず、日本に来た確固たる理由も見出だせずにいた。そんな彼女はある日、通学路脇の田んぼで赤いコートを着たユリという謎の少女に出合う。その後、元アイドル歌手で涼太とは学校の同級生だった彩子、借金を抱える親の事情で村に越してきた少年、写真館を営むユリの父親、いつの間にか村に住み着いたホームレスの男、ユーウェンと同じクラスの光孝や香織など、それぞれの感情が微妙に交差し、物語は思わぬ方向へと運ばれていく。

▼Information
『恋愛奇譚集』
新宿シネマカリテ他、絶賛上映中!
監督:倉本雷大
脚本:狗飼恭子
出演:ヤオ・アイニン、和田聰宏、内田慈、福田麻由子、栁俊太郎、遠藤新菜、前野朋哉、潮みか、若林瑠海、中島歩、山本浩司、水橋研二、康すおん
 


©2016 Paramount Pictures. All Rights Reserved.


3.『マリアンヌ』

『フォレスト・ガンプ 一期一会』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などの名作を世に送り出した名匠ロバート・ゼメキス監督の最新作。
ブラッド・ピットとマリオン・コティヤール扮するある夫婦に隠された、誰にも言えない真実の物語。

愛する妻に向けられた、信じられない“疑惑“とは?
厳しい時代の波に翻弄されながら、その愛を試される夫婦の運命。
愛は守りきることが、信じ抜くことができるのか。

『エディット・ピアフ~愛の賛歌~』でアカデミー賞主演女優賞に輝き、観るものの心を片時も離さなかったマリオン・コティヤール。
秘密を抱える女“マリアンヌ”の情感のこもった横顔や、真実を秘めた瞳の奥を観ているだけで、その美しさと切なさに胸が締め付けられた。
すがるような気持ちで、終始彼女を追い続けた。

愛さえあれば。
と、容易く言えるのは、ある程度平穏な時代を生きているからだろう。
自分と同世代くらいの男女が、きっと同じように互いに惹かれ合い、愛し合ったのに、共に光の道を辿ることが許されない。
時代の大きな波に埋もれてしまうことも、戦禍の中散り散りになることも、
いっそ自ら果ててしまう道を選ぶこともあっただろう。

果たして、共に行けなかった愛はどこへ行くのだろうか。
実態がないのものを信じることの難しさと、それでも信じたいと願う心の強さ、そして、それらの行方について、いつまでも考えていた。

▼あらすじ
1942年、カサブランカ。マックスとマリアンヌは出会った。
極秘諜報員とフランス軍レジスタンス――決して交わることのない人生を歩んでいたふたりは、ある重大なミッションによって引き寄せられる。それは夫婦を装い、敵の裏をかき、ドイツ軍大使を狙う作戦だった。
そして終戦を迎え、ロンドンで再会したふたりだったが、彼らには決して人には言えない「ある秘密」を抱えていたのだった。

▼Information
『マリアンヌ』
2月10日(金) TOHOシネマズ 六本木ヒルズ 他 全国公開
監督:ロバート・ゼメキス
出演:ブラッド・ピット、マリオン・コティヤール、リジー・キャプラン/ マシュー・グード
原題:「ALLIED」
配給:東和ピクチャーズ
公式サイト: http://marianne-movie.jp/


 

©Shayne Laverdière, Sons of Manua 


4.『たかが世界の終わり』

あらすじを一切知らない状態で、映画館に行くことがいよいよ難しくなってきた。時代のせいだけじゃない。なんでも前もって知っておこうとしてしまう物書きの性もある。
フライヤー、あるいは試写状の表だけを見て、「観なきゃ!」。
そんな風に、一見したその絵面に心惹かれた作品こそ、本当は心を素面にして臨みたいのに。

郵便受けから取り出した試写状。まず、もうタイトルにからだが激震した。
そして、キャッチコピーも。
“愛が終わることに比べたら、たかが世界の終わりなんて ”。
それだけで、観ないわけにはいられなかった。タイトルの上下の監督とキャストの名前は目に入ってしまった。グザヴィエ・ドランにレア・セドゥ。
監督作・出演作を全て観ていた。だからこそ、あらすじは絶対読まずに挑みたかった。

ーー目で話す映画だと思った。その分、こちらも瞬きが本当に勿体無く感じた。
行間にこそ、真意が隠されている。静かな時こそ、物語は動いている。
画面ギリギリまで迫ってくる、とある家族たち。その表情や声色、そして沈黙は、こちらが緊張してしまうほど、あらわだ。

受け入れるということ、突き放すということ。
どちらも、ほんとうは、近しい者にこそ難しいのかもしれない。
別にこれより下のあらすじを読まなくたっていい。
個人の自由だけれど、この映画はそういう風に観てもいいと思う。

▼あらすじ
「もうすぐ死ぬ」と家族に伝えるために、12 年ぶりに帰郷する人気劇作家のルイ。母のマルティーヌは息子の好きな料理を用意し、幼い頃に別れた兄を覚えていない妹のシュザンヌは慣れないオシャレをして待っていた。浮足立つ二人と違って、素っ気なく迎える兄のアントワーヌ、彼の妻のカトリーヌはルイとは初対面だ。オードブルにメインとぎこちない会話が続き、デザートには打ち明けようと決意するルイ。だが、兄の激しい言葉を合図に、それぞれか隠していた思わぬ感情がほとばしる──。 

▼Information
『たかが世界の終わり』
2 月 11 日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA 他にて全国順次公開
監督・脚本:グザヴィエ・ドラン
出演:ギャスパー・ウリエル、レア・セドゥ、マリオン・コティヤール、ヴァンサン・カッセル、ナタリー・バイ
公式HP: http://gaga.ne.jp/sekainoowari-xdolan/



© 2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会


5.『彼らが本気で編むときは、

他人である3人が“家族”として過ごした60日間。
それは、それぞれの、その後の生き方を大きく変えていくだろうと思った。
そして、人と人とが巡り会うことの本当の意味を静かに問われている、そんな気がした。

小学5年生のトモを残し、男を追って荒れ放題の部屋を後にする母ヒロミ。
トモは、叔父であるマキオの家に向かう。母の家出は初めてではない。
ただ以前と違うのは、マキオはリンコという恋人と一緒に暮らしていた。
それはトモが初めて出会う、トランスジェンダーの女性だった。

悔しいことがあるたび、編み物をして心を落ち着かせてきたリンコ。
トモに編み物を教える佇まいは、愛と慈しみ、そして母性に満ちていて、思わず息を飲んでしまった。
そして、リンコが編み続ける、その真意を知ったとき、胸がいっぱいになった。
彼らが本気で編むときは、。
その後に続く言葉が、探しても探しても見つからない。
言葉の向こうっ側にあるものがまっすぐ胸を突いて、泣いてしまった。 言葉なんかなくたって、心はわかっていた。

「男女を超越した人間愛。そこには男も女も、年齢制限もない。愛するってそういうことだと思うんです。」
これは、本作を最期に、この世を去った世紀の女優りりィさんの言葉だ。
自分以上に誰かを大切に思うこと。例えば、その髪に、その胸に、触れていたいと思うこと。夜が明けるまで甘えたいと思うこと。他の誰かを攻めてでも守りたいと思うこと。もっと一緒に、ずっと一緒にいたいと思うこと。
“愛すること”を剝き身にしたら、言葉なんて形なんて、本当にあてにならない。この60日間は、風のようなさりげなさで、そんなことを告げている。

▼あらすじ
母ヒロミの家出をきっかけに、小学5年生のトモは、叔父であるマキオの家に向かう。母の家出は初めてではない。ただ以前と違うのは、マキオが一人暮らしではなかったということ。以前よりキレイに、温かく整えられた部屋にトモを優しく迎え入れるリンコは、トランスジェンダーの女性だった。食卓を彩るリンコの美味しい手料理、安らぎを感じる団らんのひととき。母は決して与えてくれなかった家庭の温もりや、母よりも自分に愛情を注いでくれるリンコに、戸惑いながらも信頼を寄せていくトモ。その姿にリンコも愛おしさを覚え始める。本当の家族ではないけれど、3人で過ごす特別な日々は、人生のかけがえのないもの、本当の幸せとは何かを教えてくれる至福の時間になっていく。このまま永遠に続くように思えた3人の関係だが…。

▼Information
『彼らが本気で編むときは、』
2月25日(土)新宿ピカデリー、丸の内ピカデリー他全国ロードショー
脚本・監督:萩上直子
出演:生田斗真、柿原りんか、ミムラ、小池栄子、門脇麦、柏原収史 込江海翔、りりィ、田中美佐子/桐谷健太
助成:文化庁文化芸術振興費補助金 文部科学省選定作品(少年向き・青年向き・成人向き)
第67回ベルリン国際映画祭 パノラマ部門・ジェネレーション部門 正式出品作品
公式HP: http://kareamu.com


Text/Miiki Sugita