Diary

【大人が出逢う、東京古着】高円寺グランプリーズで、生粋のレトロに触れる


高円寺は、ルック商店街。
JR高円寺駅から向かうと、終わりの方、地下鉄の新高円寺駅から向かうと、始まりの方。南北に伸びる、大きな商店街の中に一際目立って、そのお店はある。
『グランプリーズ』



黄色いビニールの軒先テント。
大きなおもちゃ箱から溢れ出すように、店先に拡がる洋服や雑貨。
色彩でいっぱいになったその視界の中で、パッと何かにスポットが当たる。



「懐かしい!」
淡い思い出がハイスピードで全身を駆け抜けて、思わず声に出してしまう。
どこへ行くのも一緒だったお人形。毎日夕焼け小焼けまで友達と遊んだあの頃。
これは、紛れもない、かつての私の宝物だ!
そんな風に、“在りし日”に手招きされて、私たちはこのお店の前で足を止める。



入り口で迎えてくれたのは、オーナーのなにわ社長とみきっぺさん。
昭和の映画から飛び出してきたような、ムードたっぷりの素敵なご夫婦だ。
「懐かしいでしょ? ゆっくり見てってね」
「こんな珍しいのが入ったよ!」
いつ来ても変わらない明るい声で、まるでお家の中に招き入れてくれるように、アットホームに迎えてくれる。
その度「ただいま」って言いそうになる、あったかいお店。



そしてもう一歩、大きなおもちゃ箱へ足を踏み入れる。
“昭和”がひしめき合う店内は、リビングであり、クローゼットであり、キッチンであり、子ども部屋でもある。
今日のBGMは、友部正人。
中島みゆきに忌野清志郎、ブルーハーツの時もある。
平積みされたレコードは、音楽に精通したなにわ社長セレクトだ。
どうやら、お父さんの趣味の部屋でもあるみたい。 あたたかいオレンジの灯りに照らされた、日本の暮らしがそこにあった。





セレクトされているアクセサリーは、すべて1点もの。
どれもがパッと目をひく、潜んでいる個性とチャームを引き出してくれそうな、
手作りならではの温かさと贅沢さ。
だからこそ、作家さんの名前と一緒に覚えて欲しい。
パーティーシーンやプレゼントにもすすめたい逸品たち。
お手頃価格が、さらに最高!

 

(左から)スパイダーリリイヘッドドレス 2,800円、neziパッチンピン各 600円、Forgotten objet.ピアス 1,800円、Dagoドロップピアス 950円、gomesuスターフリンジイヤリング 1,100円、
gomesu鳥コットンパールイヤリング 1,500円、gomesuボタンイヤリング 1,600円、geshiハチの巣ピアス 2,900円、Dagoキューブコットンパールイヤリング 980円


パワーが溢れるエネルギッシュな時代、昭和は柄が加速した時代でもある。
とびきりお気に入りの柄があれば、日々は随分いいと思う。
寂しかった首元も、冴えなかった雨の日もほら、少しのことで、全然違う。
日々は、ささやかなところから彩られるのだ。

 




古いものに惹かれるようになった高校生の頃から、私は空想の中で色んな国に旅をした。ジーンズを買えば、アメリカの西海岸へ。パフスリーブのヴンテージワンピースならパリへ。8ホールのチェック柄ブーツならロンドンへ。
私の中にこれまでなかったものたち、これまで知らなかったものたち。
外からやってくるものを、いっぱい吸収したい。
古着を極めるって、そういうものにたくさん出会う事だと思っていた。
でも、本当はそれだけじゃない。



サンフランシスコやパリやロンドンと同じように、日本の装いにも、もちろんヒストリーがある。
さんざめくような明るい赤は、若い頃お母さんが着ていたコートに似ていた。
ずっと家にあったから気付かなかったけど、強くて眩しくて、とても綺麗な赤だったんだな。



「今回は、あえて色味の調整はしない方向でいきましょう」
カメラマンさんの提案に連載スタッフみんなで頷く。
一目に捉える圧倒的な色彩感、昭和の色。
なるべく、この目に映ったままで、伝わってほしい。



今日は、ヴィンテージじゃなく、レトロについて書いているなと思う。
「古いもの」でなく、「古いものを懐かしむこと」。
“レトロ”とは、ものを想う人の心だ。




中に綺麗に収まるように、なんとかハートに切り抜いた大切な人の写真。
いつだって、開ける時は胸が高鳴った。
パチッと閉める時もまた、いつでも会えると喜んだ。
忘れたくないことが多いのに、ずっとは覚えていられない私たちは、ロケットペンダントのように、“在りし日”を愛おしむ。そして、常に最新を生きている。
過去がなければ成立しない、今という最新。



今日のように、うんと日が短い年の瀬。
オープンを年明けに控えた店内で、みきっぺさんはもくもくとこの壁紙を貼ったという。手作りの壁、一面のオレンジとグリーン。
「町の駄菓子屋さんのような場所になればいいな」 そう言いながら、今日もみきっぺさんは帰り際にキャンディをくれる。
こんなにさりげなく、レトロを胸に生きている人を私は他に知らない。



窓の外の景色ばかり見ていた私が、お家の中でとびきりの宝物を見つけたのは、つい最近のことだった。
その時に気付いた、「懐かしい」と「愛おしい」が似ていること。
日本のものの素敵さを知る時、そこには顔が浮かぶ人がいて、暮らしがある。
あの人と私の思い出が、そこに重なっていく。 大きく手を振ろう、ありあまるレトロをロケットペンダントに秘めて。
在りし日のあの人へ、最新の私より。



タートルネック 1,500円+tax、ベスト 2,800円+tax、スカート 2,800円+tax


ロングベスト 3,600円+税  


ロングコート 12,000円+taxより20%オフ

 

Photo:Kayo Sekiguchi
Edit:Namiko Azuma
Text:Miiki Sugita

 

INFORMATION

 

グランプリーズ

住所:杉並区高円寺南3-2-13 1F
tel:03-6383-2875
営業時間:12:00〜20:00(場合により19:00)
定休日:水曜日
Instagram:@grandpries