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近頃、ちょっと気になるあの本、この本 #1 【村田沙耶香『コンビニ人間』】

ハードカバーもよし、文庫もよし! 話題になっている作品はもちろん、話題にしていきたい作品を編集部独自の目線で紹介する、She magazine的新刊レビュースタート!


コンビニバイトの人が、コンビニの話で芥川賞を受賞! 村田沙耶香『コンビニ人間』
 


コンビニ人間/村田沙耶香 文藝春秋刊行


昨日も行ったし、今日は2回行った。コンビニだ。コンビニは最早、今の世になくてはならないモノコトベスト10に入るだろう。そんな「コンビニ」という私たちにとって超絶に日常、つまり「普通」であるものを通して、見えてくるものは何か。

受賞の知らせもバイト先のコンビニで受けたいう作者の逸話とともに、文学界の話題をさらった第155回芥川賞受賞作『コンビニ人間』(村田沙耶香)。
コンビニこそが、私を世界の正常な「部品」にしてくれる――。
この一文だけを見ると、現代社会のダークサイドを映し出した問題提起作のように思われがちだが、全然違う。

切り取られる会話や場面場面の展開が想像を逸してくる、小説世界としての面白さ。独特な感性を以てなされる人間観察と、それを元にした人間のシュールでアイロニックな描き方。ステレオタイプやコンプレックス、他人への好奇心、優越感と劣等感、共感と対立。人間の複雑とされる部分が、ちょっと可笑しく、何なら愛らしくさえ思える部分もある。
多分、それは、みんながみんな、どこか「普通」じゃないからだろう。

幼い頃から両親に「この子は普通じゃない」と心配され、
妹からは、「早く治ってよ」と泣かれた。
友人からはこんな感じで聞かれる。
「いい加減、誰かいい人いないの?」
(いつになったら恋愛するの?なんでできないの?)
同僚でさえ、
「正社員にはならないんだ?」
(36にもなって、ただのコンビニバイトってヤバくない?)
社会の中に身を投じた時、感じる世間の声。
じゃあ、どこでどんな仕事をしていたら普通?
何歳で異性と付き合い、何歳で結婚していたら普通?
「普通」の演技をして過ごしているのは普通?
「普通」にこだわっているのは普通?
さて、正常と異常の境目はどこ?

結末に向かう静かな疾走感は、ほとばしる「意思」だと思った。
俯瞰に世界を見渡してきた主人公が、「普通」に向かって掲げる意思。
それが見えるまで読んでほしい。

▼あらすじ
36歳未婚女性、古倉恵子。
大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。
オープン当初からスマイルマート日色駅前店で働き続け、変わりゆくメンバーを見送りながら、店長は8人目。
日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、
清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、
毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。
ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は「恥ずかしくないのか」とつきつけられるが……。