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【9月公開の注目映画】編集部のおすすめ5選

© 2016『エミアビのはじまりとはじまり』製作委員会


1.『エミアビのはじまりとはじまり』

—人気絶頂漫才コンビの1人が死んだ。
映画『エミアビのはじまりとはじまり』の“はじまり”は「死」だ。
「笑い」を生業とする彼らに突きつけられる、笑えない現実。
喪失を抱えながら、彼らは再起に向かって走り出せるのだろうか。
Starting Over.そんな言葉が脳裏に浮かんだ。

「死」の映画は笑えない。そう思っていたけど、結局笑っていた。
「バカだな〜」遺された相方と同じような言葉を心で言いながら、泣きながら、笑っていた。
「哀しい」も「面白い」も、「愛おしい」も「馬鹿野郎!」も全部、どこかは分からないけど、同じところからやってくる。
そんな当たり前で不思議な感覚を、今更ながら噛み締めた。

「死」は笑えない。本当に笑えない。だけど、「生」には、笑いが必要だ。
それは、生きることが歓びであってほしいと願う我々の、我儘に似た“はじまり”への希望だと思う。
もう一度笑えた時にしか、見えない景色がある。しゃがみこんでからしか、跳べない高さがある。それは、今を生きているということだろう。
目にはもう見えないけど、多分、アイツも一緒に。
 

▼あらすじ
人気漫才コンビ“エミアビ”の、金髪ロン毛で自称モテキャラの実道と、三枚目キャラの海野。
人気絶頂の矢先、片割れ・海野がある日突然自動車事故で死んでしまう―。遺された相方の実道はマネージャーの夏海を連れ、海野の車に同乗していた雛子の遺兄・黒沢に会いに行く。黒沢もかつて天才芸人と呼ばれ数年前までお笑いの世界にいた、エミアビの先輩であり恩人だった。しかしある悲しい過去をきっかけに、ステージから降りてしまっていた…。どん底の笑えない現実に直面した彼らは果たして、もう一度笑うことができるのか?もう一度跳ぶことができるのか!? そんな矢先、彼らに思いもよらない奇想天外な“ドッキリ” が舞い降りる…!


▼Information
『エミアビのはじまりとはじまり』

ヒューマントラストシネマ渋谷ほか、大ヒット公開中!

脚本・監督:渡辺謙作
出演:森岡龍、前野朋哉、黒木華、新井浩文、山地まり他
配給:ビターズ・エンド
公式HP: http://bitters.co.jp/emiabi/

 

 ©リチャード・ウー,すぎむらしんいち・講談社/映画「ディアスポリス」製作委員会
 

2.『ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-』

春ドラマで深夜に一際の異彩を放っていた『ディアスポリス-異邦警察-』。映画のような画面(えづら)、個性派俳優の熱演怪演。スピード感を武器に、毎回衝撃的な展開を見せる2つとないドラマだった。監督の名前を見て納得。熊切和嘉だ。卒業制作の『鬼畜大宴会』から映画界に衝撃を与え、その後『青春☆金属バット』『私の男』など記憶に強く残る作品を世に送り出した鬼才。

今回、熊切監督が挑むのは、作・リチャード・ウー、画・すぎむらしんいちの漫画原作であり、ギリギリな密入国者たちの裏社会エンターテインメント。
主演は、連載時から原作を愛読し、映像化の際には久保塚役を熱望していたという松田翔太。話し方のニュアンスやファッション、国境も人種もない自由で平等な精神性に至るまで丁寧に作り込み、鮮烈な印象を残している。

生きるか?捕まるか?
瀬戸際で生きる彼らは、多分、漫画や映画だけの登場人物ではないはずだ。
いつもの道から一歩裏道へ進めば、今もどこかに確かにある“裏トーキョー”。アブない事件に、キレキレのバトル、センスが炸裂する笑い、そして、胸を打つ人間ドラマ。 エキサイティングなニュー・ヒーローの物語が、今始まる。
 

▼あらすじ
十数万人にも及ぶとされる東京在住の密入国者たち。どこの政府にも守られない彼らが、自身を守るために作った秘密組織・裏都庁。ドラマ『ディアスポリス-異邦警察-』映画『ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-』は、そんな裏都庁の警察組織で働くただ一人のケーサツ、久保塚早紀の活躍を描く物語。ギリギリな密入国者たちとギリギリなケーサツ。
銃撃戦から肉弾戦までバトルは鳴り止まない。見たことのない世界の、見たことのないヒーローショーの幕開けだ。
 

▼Information
『ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-』

9月3日(土)より絶賛公開中
監督:熊切和嘉
脚本:守屋文雄 熊切和嘉
出演:松田翔太、浜野謙太、須賀健太、NOZOMU、安藤サクラ、柳沢慎吾他
音楽:渡邊琢磨
公式HP: http://www.dias-police.jp/

 

© 2015 by JANIS PRODUCTIONS LLC & THIRTEEN PRODUCTIONS LLC. All rights reserved.
 

3.『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』

“歌っているときだけ、ひとりじゃなかった”
“熱狂のど真ん中で、ただひとつの愛を探してる”そんな言葉に目を奪われた。音楽史上最高の女性スター、ジャニス・ジョプリンのドキュメンタリーだ。
「Baby,baby,baby」頭のなかであの声が響き渡った。

ボヘミアン・ファッションを身に纏い、臆面もなく「私だけを愛して!」と歌う。しゃがれた声、揺れるように響く声、どこまでも伸びそうな声。高らかに歌う彼女はいつだって圧倒的だ。葬られることのない名曲と存在。
最速で生きた「27歳の肖像」と等身大の「ロックの女王」が今、私たちの前に現れる。

混沌と変革の中を全速力で駆け抜け、27歳の若さであなたは逝った。
不滅のあなたに聞きたい。
あなたは何を想って生きていたの? 何を抱いて歌っていたの?
その歌声は、どうしてこんなに心を揺さぶるの?

孤独に押しつぶされそうな夜を何度も越えて立ったステージで
「あなたの悲しみは全部わかっているわ」と歌ったあなた。
あなたは、誰よりもタフで、誰よりも優しく、
そして、もしかしたら誰よりも寂しがり屋だったのかもしれない。


▼あらすじ
未公開映像を含むライブ、異様な熱気に包まれたレコーディング、バックステージで見せたおどけた表情、そして、ひそかに書き綴られていた手紙。これまでどこにも語られたことのなかったジャニス・ジョップリンの素顔が紐解かれる。なぜ彼女の歌はこんなにも多くの人の心をつかむのか。なにが彼女をそこまで駆り立てていたのか。死の間際、やっと見つけた本当の幸せとは―。
遺族の全面協力のもと、家族や恋人に宛てしたためられ続けていたパーソナルな手紙の数々を開封。伝説に閉ざされていた扉が開き、今まで聴こえなかったジャニスの声が少しずつ聴こえはじめる…。
 

▼Information
『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』
9月10日より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー

監督:エイミー・バーグ
製作:アレックス・ギブニー
出演:サム・アンドリュー、ピーター・アルビン、デヴィッド・ゲッツ(以上、ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニー)、クリス・クリストファーソン、カントリー・ジョー・マクドナルド、ボブ・ウィアー、デヴィッド・ドルトン、クライヴ・ディヴィス、ジョン・レノン、オノ・ヨーコ、ピンク他
配給・宣伝:ザジフィルムズ
公式サイト: http://www.janis-movie.com/

 

©Partizan Films- Studiocanal 2015


4.『グッバイ、サマー』

『エターナル・サンシャイン』『恋愛睡眠のすすめ』など、2つとない創造性と遊び心に満ちた世界観で絶大な支持を得るミシェル・ゴンドリー。
最新作の主人公は、14歳の少年たち。夏休みに繰り広げる秘密の冒険に追った、ロードムービーだ。

この少年の1人は誰でもない、ゴンドリー自身だった。
「この映画は100%僕の思い出からできている」
自分自身が体験したことを元に、色んな思い出をごちゃ混ぜにして、物語を紡いだと彼は言う。
「映画を作ることによって、子どもの頃の夢が現実になることだってある」
彼は、自伝的青春映画に、かつての希望をも乗せていたのだ。

誰も分かってくれない。誰かに分かってほしい。一人でいたい。一緒にいたい。
複雑な心を飼い慣らせなかった、14歳の日々。
心が感じるままに旅に出た、一生に一度で、一生で一番の夏休み。

大人に向かう時の中で、がむしゃらに追いかけていた。あの時にしか見えなかったきらめき、味わえなかった甘酸っぱさ。
そんな薄れゆく景色や懐かしい手ざわりを、再び色づかせ縁取らせててくれる物語。いつか14歳だった全ての人へ。今改めて、あの眩しい夏に手を振ろう。


▼あらすじ
画家を目指すダニエルは沢山の悩みを抱えていた。中学生になっても女の子のような容姿で、クラスメイトからミクロ(チビ)と馬鹿にされており、恋するローラにはまったく相手にされていない。おまけに母親は過干渉で、兄貴は暴力的なパンク野郎だ。誰も本当の自分を理解してくれる人はいない…。そんなある日、ダニエルのクラスに変わり者の転校生がやってくる。名前はテオ。目立ちたがり屋で、自分で改造した奇妙な自転車を乗り回し、家の稼業のせいで身体からガソリンの匂いを漂わせている。周囲から浮いた存在のダニエルとテオは意気投合し、やがて親友同士に。学校や家族、そして仲間達、みんなが二人を枠にはめて管理しようとしてくる。息苦しくて、うんざりするような毎日から脱出するため、彼らは“ある計画”を考え付く。それは、スクラップを集めて〝夢の車”を作り、夏休みに旅に出ることだった―。
 

▼Information
『グッバイ、サマー』
9月10日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテ他、全国ロードショー

脚本・監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:アンジュ・ダルジャン、テオフィル・バケ、ディアーヌ・ベニエ、オドレイ・トトゥ、ヴァンサン・ラムルー、アガット・ペニー、ダグラス・ブロッセ他
公式HP: http://www.transformer.co.jp/m/goodbyesummer/

 

©2016「オーバー・フェンス」製作委員会


5.『オーバー・フェンス』

『海炭市叙景』、『そこのみにて光輝く』。日本が誇る孤高の作家 佐藤泰志の名作は、これまでも気鋭の監督によって映画化されてきた。その最終章として、『オーバー・フェンス』でメガホンをとるのは、山下敦弘監督。『マイ・バック・ページ』や『苦役列車』など、人間の人間臭さを独自の世界観で描き出す注目の監督だ。

その生涯において五度も芥川賞にノミネートされながら受賞することなく逝った佐藤にとって、「オーバー・フェンス」は、最後の芥川賞候補作であり、自身の体験を基にした血肉の通った物語。

「その瞬間を生きている人間たちの映画にしたい」
山下監督は撮影前にそう記し、主演を務めたオダギリジョーはこう語った。
「ほとんどの人が彼のようになりうる。つまり、それは普遍的な人生でもあると思う」

頑なな心と緩んでいく空気。暴発する純情と伸びやかなイノセンス。
傷つけ合いながらでしか、深く交われない。それでも求めずにはいられない。
彼らの生きる瞬間が、私たちが生きてきた中にある一瞬にシンクロした時、
物語は一気に縁取られていく。

理想と現実、希望と挫折、愛と憎しみ、抱きしめたいと抱きしめられたい。
僕たちはいつも、相反するものを抱えながら、生きている、時に嬉々として、時に鬱々として、その瞬間瞬間の地続きを今日も生きている。
フェンスの先に見つけるのは愛か希望か。
これは、私たち観客を含む純粋で不器用な者たちの、愛しくも狂おしい青春だ。
 

▼あらすじ
白岩義男は妻子と別れ、勤めていた建設会社も辞めて故郷の函館に帰ってきた。実家に顔も出さず、職業訓練校に通いわずかな手当で、気ままに孤独な生活をずるずると続けていた。いつものようにコンビニで夕食を買い終えた白岩は店の外で、傍らの中年男に鳥の求愛ポーズをしている不思議な女性に目を奪われる。その女性もまた、白岩の瞳をまっすぐ捉えた。
また別のある日、白岩は同じ職業訓練校の代島和之に誘われ、キャバクラを訪れる。耳に覚えのある声がして振り向くとそこにいたのは、あの女だった。代島の馴染みでもあるらしい、そのホステスの名は田村 聡)。「さとし?」「名前で苦労したけど、親のこと、悪く言わないで。頭、悪いだけだから」
ぎこちない再会。だが、どこか通い合うものがあったー。
 

▼Information
『オーバー・フェンス』
9月17日(土)よりテアトル新宿他全国公開

原作:佐藤泰志
監督:山下敦弘
出演:オダギリジョー、蒼井優、松田翔太、北村有起哉、満島真之介、松澤匠、鈴木常吉、中野英樹、安藤玉恵、吉岡睦雄、優香、塚本晋也
配給:東京テアトル
公式HP: http://overfence-movie.jp/