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カレーときどき村田倫子 #3 トリコカレー


「春夏秋冬、朝昼晩カレーが食べたい!」そんなカレー好きによる、カレー好きのための連載。持ち物は、お財布とカメラと、ほとばしるカレー愛。自他共に認める、無類のカレー好き村田倫子ちゃんが、都内のカレー屋さんを訪ねます。

 



第3回目は、カレーというより、カレーライスという方がなんだかしっくりくるような、日本の味が堪能できる『トリコカレー』へ。
中野駅から6,7分、高円寺駅から徒歩10分。
線路沿いを歩けば、その店はあります。



辿り着いてすぐ、スタッフ陣も思わず自前のカメラに収めてしまいました。 赤い扉とバイク。手書きの看板。
そのままポストカードに出来そうな、記憶にも強く残る鮮やかな外観。 計らずも、倫子ちゃんのこの日のファッションもお店のカラーとマッチ! ひとしきりの撮影会を終え、扉を開けます。





外観の赤とは一転、中に入ると見渡す限り青。
内装もまた、オーナーさんのこだわりやセンスを感じられる素敵な空間です。
オーナーの佐藤さんに相談に乗ってもらいながら、看板メニューである「ピピカレー」をオーダー。



ピピカレー 1200円


元々は18年前に地元の福岡で創業したトリコカレー。その福岡時代、常連さんのために生まれたカレーこそが、このピピカレーだそう。10種類以上の野菜は、焼いたり素揚げしたりと、その素材の美味しさが1番引き立つ方法で分けて調理されている。季節によって、旬な野菜や珍しい野菜を取り入れるのもこだわりだという。
心して、いただきます!



濃厚なルウに、野菜それぞれの食感や甘みがマッチして絶妙な味わいに。
こっくり濃いルウ、スパイスやハーブが導く後味、お皿の上でご飯と混ぜ合わせて食べる感覚。知らない国を転々として、やっと自分の住む街の駅に着いた時のような安心感。
「おいしい!」という素直な感想とともに、「そうそう、ずっとこういうカレーが食べたかったんだ!」と、不思議な懐かしさにかられる味。


食べ方にも、他のお店にはなかなかない濃厚なカレーならではの工夫がされている。自分好みの濃さに調整するためのチキンスープが付いてくるのだ。
薄めても食べても良し、ルウを少し混ぜてスープのように楽しんでも良し。
このひと手間のあるお店には、なかなか出会えない。



サラダプレート 1,100円


サラダとカレーが一緒に楽しめるサラダプレートは、女性に大人気。種類豊富な野菜とポテトサラダ、玄米にひき肉がメインのカレーが付いている贅沢なプレートだ。
佐藤さんは、メニュー考案の苦労話も話してくれた。
「女の人は野菜が好きですよね。それも、同じ野菜をいっぱいじゃなく、たくさんの種類の野菜を少しずつ食べたい。最初はかぼちゃとトマトがあればいいかなと思ってたんですけど、徐々に増えていきました。女の人の好みに寄り添うのもなかなか苦戦しましたよ。スタッフに教えてもらったりして。自分は男だから分からなくて(笑)。」



「どうして、トリコカレーっていうお名前にされたんですか?」
そんな素朴な質問をきっかけに、18年続く名店の誕生秘話や佐藤さんの素顔が少し見えてきた。
「トリコロールから来てます。3人で始めたので」その答えを聞いて、改めて店内を見渡すと、赤と白、そして青の3色でお店が包まれていることに気がつく。



「人生にあぶれた3人がいつも古着屋に集まっていて、何かしたいねって始めたのがトリコカレー。和食の人とバーの人と僕の3人。三人三様色があるので、トリコカレーです」
そんな創業には、娘さん達への思いもあったという。カレー屋へ転身する前は、福岡で呑み屋をやっていた佐藤さん。当時幼かった娘さんたちにも分かるような仕事がやりたいと思って、カレー屋への転身を決めたとか。
「創業当時1歳だった娘は、舌が厳しくて、大人になった今でも認めてくれないんですけどね」そう言って佐藤さんは少し笑った。



トリコカレーは父の味。
「お母さんが作るカレーをお父さんが作ったらどうなるか」
それがこのお店のそもそものイメージだったのだという。
「具材そんなにたくさん入れるの? それ明日の煮物に使うのよ」
母にそんなことを言われながら、父が野菜を切っている。
佐藤さんの言葉を聞いて、腑に落ちた。
贅沢な具材、豪快な盛り付け、思い切りのいい味。そして、さっき、ピピカレーを口にした時のあの懐かしさ。そう、母の味ならぬ、父の味だ。



日々、命を頂いて命を繋いでいること。その恵みとそこに関わる人々へ感謝をすること。「いただきます」と「ごちそうさま」。そして、「ありがとう」。
それも父からの大事な教えだ。





「今でこそ、カレーって外食ってイメージがあるけど、僕らの世代からしたら家で食べるものだった。だから、母の味は好きでした。僕と同じで、みんなのとってもお母さんのカレーが1番だと思うんです。だからこそ、お母さんには作れない家庭の味。そこを目指したのがトリコカレーです」



そんな“父” の元には、ご飯だけを入れたタッパーを持った学生さんが日々何人もやってくるという。
トリコカレーは、容器を持ち込めば、350円でルウを入れてくれるのだ。
タッパーに入れてくれるのは、きっとカレーだけではないはずだ。
「これ食ってがんばれよ」というエールとハート。
東京に、今の東京だからこそ、こういうお店があって本当によかった。

 

トリコカレー
電話番号:03-5942-4504
住所:東京都中野区中野4-20-6
営業時間:11:45~16:00(LO15:00) 18:00~22:00(LO21:00) 
※ 時間は多少変更日有
定休日:不定休

 

【食べりんログ(倫子隊長による編集後記)】

娘のためを思ってはじめたカレー。そんなことを聞いたら、涙なしでは食べれないなあ…と思ってひと口。父の思いと、ほっと家庭の温かみを感じるルウの優しさに心の涙とスプーンが止まらない。 最近、異国のカレーばかりを好んで食べていたけれど、家庭のカレーこそ、私たち日本人の真のルーツだなあと、改めて気づかされた瞬間でした。これぞ、カレーの真骨頂やっ! 看板メニューのピピカレーは彩り豊か、野菜たっぷりで女性は絶対に好物な一品です(写真もかなり映えるからSNS映えも◎) そして、個人的な推しポイントはルウのテイクアウトができること。なんと、タッパーをもってゆけば350円。 安すぎませんか?優しすぎやしませんか?!父の愛…。 近くの学生さんはお鍋をもってお店に集まるんだとか。わたしも近くに住みたい!ずるい!近くにパパほしい!(笑)。 父が恋しくなったら、パパの温かさに触れたくなったら食べに帰ってこよう。心もお腹もしっかり満たされる素敵な場所でした。