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【6月公開の注目映画】編集部のおすすめ5選

©『走れ、絶望に追いつかれない速さで』製作委員会


1.『走れ、絶望に追いつかれない速さで』

なんて生命力に溢れたタイトルだろう。“若者たちは、太陽を目指した”というキャッチコピーが添えられたタイトルを何度も口に出してみた。20文字にも満たないこの一言を放つ度「生かねばならない」という気持ちが湧いてくる。多分それは、私たちが漏れなく「死」に向かって生きているからなのだろう。

言葉の輝きに目を奪われたのもそのはずだった。監督・脚本は、詩人としても活動する中川龍太郎。国内外の映画祭にて数々の受賞・入選、東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門では、最年少で2 年連続の出品を果たした新鋭監督だ。主演は、太賀。ドラマ「ゆとりですがなにか」での目を見張る怪演が記憶に新しい。若者としての等身大の魅力を兼ね備えた彼の繊細な感情の機微は見どころだろう。

絶望の最たる形と言っても過言ではない「死」。だが、この映画で描かれるのは「死」ではなく、それを通して新たに発見される「生」、そしてその煌めき。1つの死が多くの生を翻弄する、そんな瞬間だ。いつまでも終わりそうにない誰かの死という真夜中、それでもいつしか朝日射す再生へとひた走る。その姿は、わたしにもあの人にも、重ねることができる気がする。

▼あらすじ
青春時代を共有した親友・薫の死を受け入れられないでいる漣。描き遺された絵には薫の中学時 代の同級生「斉木環奈」の姿があった。薫にとって大切な存在であり続けた彼女に薫の死を知らせるべく漣は薫の元恋人だった理沙子とともに彼女の元へ向かうのであった...。

▼Information
『走れ、絶望に追いつかれない速さで』
6月4日 渋谷ユーロスペースにてロードショー
監督・脚本:中川龍太郎 製作総指揮:木ノ内輝
プロデューサー:藤村駿
キャスト:太賀、 小林竜樹、黒川芽以、藤原令子、寉岡萌希、飯田 芳、宮本行、松浦祐也 音楽 : 酒本信太
公式サイト: http://2015.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=67



 

© GNO Productions Limited


2.『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』

お城に住むお姫様に許された時間は、たったの一夜。ティアラを置いて、お城の大きな扉を開けた。目眩く外の世界。彼女の目に、ロンドンの街は、人々は、どんな風に映ったのだろうか。『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』は、英国王室の歴史のなかでも、ひときわ目を引くエピソード、エリザベス女王の生涯で初めてお忍びの外出を描いた作品だ。

61年前の1945年5月8日、ヨーロッパ戦勝記念日の夜。今年生誕90周年を迎え、最長在位記録をもつイギリス王室の顔ともいえるエリザベス女王は、当時まだ19歳の王女だった。妹のマーガレットとともにバッキンガム宮殿の外へ繰り出し、“英国王のスピーチ”に耳を傾け、リッツ・ホテルでワルツを踊った。この一夜の冒険は、その後も心温まる秘話として微笑ましく語られる。だが、その夜には女王しか知らない出来事も隠されていた。

約束の門限は1時。短すぎる夜はとびきり輝き、秘密を抱えたまま大きな扉を開けてお城へ戻る。その夜、彼女はどんなことを思いながら眠りについたのだろうか。プリンセスの最初で最後の自由を謳歌した、ときめきと感動の一夜。その秘密がひっそりと明かされる。

▼あらすじ
1945年5月8日、ロンドンは、歓喜に沸いていた。6年間も続いた戦争が、まもなく正式に終わるのだ。国を挙げてのお祝いの夜に、エリザベス王女と妹のマーガレットも何とか国王ジョージ6世の許しを得て、生まれて初めてのお忍びでバッキンガム宮殿をあとにする。約束の門限は1時、行き先はリッツ・ホテル。ところが、付き添いが目を離した隙に、シャンパンに勢いづいたマーガレットがホテルを飛び出し、キラキラと輝く街へと繰り出す。あわてて追いかけるエリザベスの人生を変える一夜が幕を開ける──。

▼Information
『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』
6月4日(土)、シネスイッチ銀座他全国順次ロードショー
監督:ジュリアン・ジャロルド
出演:サラ・ガドン、ベル・パウリー、エミリー・ワトソン、ルパート・エヴェレット、ジャック・レイナー
公式サイト: http://gaga.ne.jp/royalnight



 

©Rasmus Videbæk


3.『好きにならずにいられない』

彼の場合、それは吹雪の夜だった。誰かを好きになった瞬間から、突然世界は色に溢れ、時間は輝き出す。朝は綺麗だし、夕暮れ時は素晴らしく、真夜中だって美しい。それだけじゃない、恋をすると人は強くなる。ありふれた言葉に聞こえるが、これは真実だ。

監督は『氷の国のノイ』(03)でデビューし、 ミニマルな世界を優しく丁寧に描いてきた北欧映画界の俊英、ダーグル・カウリ。「スロウブロウ」名義で音楽も担当。はかない感情を映し出す、優しくきらめいたスコアが物語に華を添える。。

主人公である、アイスランドに住むシャイで冴えない大男のフーシを演じたのは、グンナル・ヨンソン。“北欧のトトロ”と呼ばれた大きな体がかもしだすユーモアと、繊細で心に沁みる演技は、フランシス・フォード・コッポラやウーピー・ゴールドバーグなどの映画界の著名人を含む多くの人の心をつかんだ。デンマーク、スペイン、モロッコ他各国の映画祭で主演男優賞を続々と受賞、ついには2015年北欧映画No.1を決定する第12回ノルディック映画賞に輝いた。

とびきりの恋に落ちて、気がつけば、自分すら知らない自分に出会っていた。恋は、自分で開くことのできる、新しい世界への扉。この映画はそんな扉の外の愛おしい世界を見せてくれる。

▼あらすじ
アイスランド・レイキャビクの空港で荷物係として働く43歳のフーシ。母親と二人暮らしで、単調な日々を送るフーシの唯一の楽しみは、戦車や兵士の小さなフィギュアでジオラマを作って遊ぶこと。そんな息子を見かねた母は、出会いのチャンスを作ろうと誕生日にダンススクールのクーポンをプレゼントする。母親の期待にこたえようとしぶしぶ出かけたフーシだったが、そこで心に傷を負った一人の女性と出会い、孤独だった人生に変化が訪れるー。

▼Information
『好きにならずにいられない』
6月18日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
監督・脚本:ダーグル・カウリ
出演:グンナル・ヨンソン、リムル・クリスチャンスドッティル、シガージョン・キャルタンソン、マーグレット・ヘルガ・ヨハンスドッティル
配給・宣伝:マジックアワー
公式サイト: http://www.magichour.co.jp/fusi



 

©2016「ふきげんな過去」製作委員会


4.『ふきげんな過去』

生活感の溢れる食堂に2人の女が並んで座っている。強そうな眼差しで頬杖をつく女性と不服そうに顔をしかめる少女。もし、ある日突然死んだはずの伯母が現れたら? そして自分の「実の母」だと知らされたら? 予想外な展開に追い打ちをかける、予定外の驚き。『ふきげんな過去』はここから始まる。

小泉今日子と二階堂ふみの2大スターの初共演でも話題沸騰中の本作を手がけたのは、前田司郎監督。劇団「五反田団」を主宰し、作家、演出家、俳優としても幅広く活躍する注目監督の待望の最新作であり、「ジ、エクストリーム、スキヤキ」に続いて放たれる完全オリジナル作品だ。

突然始まった共同生活と、紐解かれる“ふきげんな過去”。振り返る度に遠い過去になってしまう、“ひと夏”を切り取った物語。そこには、孤独と成長、それから愛があった。夏休みに宝島を探しに行くような、ひと夏の冒険、ひと夏の家族。あっという間の夏はいつも、可笑しくて切なくて、限りなく眩しい。

▼あらすじ
北品川の食堂「蓮月庵」 で暮らす女子高生・果子は、毎日が死ぬほど退屈でつまらない。けれど、そこから抜けだして他に行くこともてきず、無為な夏を過ごしていた。そんなある日、果子たち家族の前に、18 年前に死んだはずの伯母・未来子が、突然戻ってきてこう告げる。「あたし生きてたの」。戸籍も消滅している上に、ある事件を起こし、前科持ちとなってしまった未来子。彼女の突然の登場に、慌てふためく家族。さらには、自分が果子の本当の母親だという。退屈に思われた果子の夏が、未来子の登場によって、特別な夏へと変わっていく。

▼Information
『ふきげんな過去』
6月25日(土)テアトル新宿他全国ロードショー
監督・脚本:前田司郎
出演:小泉今日子、二階堂ふみ、高良健吾、山田望叶、兵藤公美、山田裕貴、大竹まこと、きたろう、斉木しげる、黒川芽以、梅沢昌代、板尾創路
音楽:岡田 徹 主題歌:佐藤奈々子「花の夜」
公式サイト: http://fukigen.jp



 

©2016「日本で一番悪い奴ら」製作委員会

5.『日本で一番悪い奴ら』

でっちあげ・やらせ逮捕・おとり捜査・拳銃購入・覚せい剤密輸―。あらゆる悪事に手を汚す北海道警察本部の刑事。悪を絶ち正義を守るために、警察へ忠誠を誓いすぎた男の歪んだ正義が暴走する。 この映画で描かれる<日本警察史上最大の不祥事>は実話をもとになっている。モデルとなった北海道警察の実在の刑事の手記「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」(稲葉圭昭 著/講談社文庫)を原作にしたフィクションなのだ。

監督は、『凶悪』で人間の悪意を容赦ない視点で描き映画賞28冠に輝いた白石和彌。その“容赦のなさ”は健在。『凶悪』を超える猛毒性の強い作品となりそうだ。主人公の諸星要一を演じるのは、『そこのみにて光輝く』『新宿スワン』をはじめ、次何を演じるかに今、最も注目が集まる綾野剛。本作では諸星のたどった26年を演じきり、年齢にあわせて体重を10キロ増減させるなど、心身ともに大きく変貌させながら己の信じる正義を貫きとおすアンチ・ヒーローを誕生させた。

この映画は、人間が“悪”に冒され、不謹慎な笑いと凍りつくような衝撃を叩きつける。そう、私たち人間の話なのだ。一番悪い奴らはどこまで脅威的で、ヤバすぎる事件はどこまでヤバイのか。悪とは何なのか。文字通り、目前で叩きつけられる衝撃を体感する他ないだろう。

▼あらすじ
柔道特別訓練隊員として警察に入った諸星は、20代後半になって現場に配属されるが、叩き上げの刑事たちの前では右往左往するのみ。警察組織に認められる唯一の方法――それは【点数】を稼ぐこと。あらゆる罪状が点数別にカテゴライズされ、熾烈な競争に勝利した者だけが認められ、生き残る。そのためには汚物に飛び込み、“S(エス)(=スパイ)”を見つけだせば、優先的に情報が手に入る。こうして諸星を慕って集まった3人のS(エス)たちとの狂喜と波乱に満ちた四半世紀が始まる。

▼Information
『日本で一番悪い奴ら』
6月25日全国ロードショー
監督:白石和彌  
脚本:池上純哉   音楽:安川午朗
原作:稲葉圭昭「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」(講談社文庫)
出演:綾野剛、YOUNG DAIS、植野行雄(デニス)、矢吹春奈、瀧内公美、田中隆三、みのすけ、中村倫也、勝矢、斎藤歩、青木崇高、木下隆行(TKO)、音尾琢真、ピエール瀧、中村獅童
配給:東映・日活
公式サイト: http://www.nichiwaru.com