Diary

【大人が出逢う、東京古着】-番外編- 「大阪心斎橋・ラヴィールルヴァンで出逢う、“生き方”になる1着」


ラヴィールルヴァンを訪れてから2週間後、私は出産をした。
sachikoさんに出会って、百来ちゃんに出会って。1つの古着屋さんを巡る物語に触れて。一人の女性の生き方を目の当たりにして。
原稿は、出産を終えてから書こう。
うまく言えないけれど、素直にそう思った。



『大人が出逢う、東京古着』ならぬ『大人が出逢う、大阪古着』。
連載2年目にして初の番外編が大阪でできることになった。
店員さんたちの気さくな人柄もさることながら、東京に引けを取らないセンスと個性を放つ大阪の古着屋さんたち。そんな中、真っ先に浮かんだお店がある。ラヴィールルヴァン。どうしても訪れたかったお店だ。



心斎橋からのんびり歩いて徒歩3分ほど。ビルの半地下にそのお店はあった。目印は、手書きで描かれた店名とお花の電飾。
花言葉になぞらえるならば、きっと、「いつまでも輝いて」。
“RAVIRLEVANT-ラヴィールルヴァン-”は、そういうメッセージを込めて作った造語なのだと、オーナーのsachikoさんは教えてくれた。
ラヴィール=魅了する、キラキラと光る。ルヴァンは、太陽が昇ることを指すフランス語だという。その二つの言葉から、「輝きながら一緒に年を重ねていきたいという思いを込めて。太陽が昇る数だけ、私たちは年を重ねていく。
だからこそ、いつも新しくありたい。いくつになっても、遊び心を忘れたくない。ここは、そんな大人の女性のためのお店だ。



インスタグラムにあげられる、洗練されたアイテムたち。色柄の溢れる、どこを切り取っても素敵な内装は、「ああこの全貌を早く見たい!」と古着好きの心をくすぐる。待ち望んでいた瞬間を体感すべく、いざ出陣!



奥行きのある店内に、ずらりと並ぶアイテムたち。
ヴィンテージ好きの心にたちまち火をつけてしまう、繊細な素材や見たことのない柄。永久の定番デニムもちょっと他にはない風合いで。
デザイン性に富んだ個性的なミュールは、背伸びしなくても様になる、大人の女ならではの神器だと思う。
「こっからここまで全部ください!」
お金持ちになったら言いたいセリフベスト1を、私ならここで発動する。





今年の夏は黄色が着たい。秋になったら赤を着よう。
洋服が色味で分かれているのも嬉しい。
移ろいやすい心に変わらないこだわりを持つ女性にとって、今に寄り添う“気分”はすごく大切なのだ。 昨日はブルーだったけど、今日ならピンクも似合う気がする
昨日を脱ぎ捨てて、今日の今を生きる最新の私が求めるもの。
そういう1着がここなら見つかると思う。





ラヴィールルヴァンの投稿で印象的だったのはアイテムだけではない。
何より、いつも“人”で賑わっていること。
洗練している空間ながらもアットホームに賑わう人たちの姿がすごく心に残っていた。これだ!という1着を試着している人、いくつものアイテムを手に迷っている人…そして、楽しそうに笑っている人たちと色とりどりの洋服の隙間から覗くのは、歩き始めたばかりの可愛い可愛い百来ちゃんだ。



ここに訪れた今なら、お店に笑顔が絶えない理由がわかる。
一歩一歩を踏みしめながら歩く姿や、出口でショップ袋を差し出す姿。
ママでもあるsachikoさんは百来ちゃんと一心同体。
お出迎えもお見送りも全力! 小さいながらも百人力の百来ちゃんは、ラヴィールルヴァンの立派なスタッフさんなのだ。



だけど、百来ちゃんがこうしてここにやってくるまでには、ラヴィールルヴァンにもsachikoさんにも語りつくせない、いろんな物語があった。
「もともとは結婚と同時に旦那さんと別のお店を立ち上げていたんですが、全部自分一人でやってみたいって思って…。不動産屋に行って勝手にテナントを借りました(笑)」
遡ること約11年。経営も別、全くまっさらなところからのオープン。
これまでファッションと関わり続けてきたsachikoさんが新たに歩む、独立独歩のスタートだった。



コンセプトそのものやお店の内装。イメージ通りのものがない時はDIYも。
店内のそこかしこに、sachikoさんの比類なきこだわりが光っていた。 そんなヴィンテージへのひたむきな愛と感性で彩られたセレクトは、大阪のヴィンテージフリークのハートをたちまち鷲掴みにした。
「お店をオープンしてからこれまで、毎日すごく楽しんで仕事をしてきました。昔も、子どもを産んでからもそれは変わりません。10年経った今、オープン当初に思っていたコンセプトの通り、こうしてお客様と一緒に年を重ねていることが何より嬉しく、感謝しています」



お客さんを思う気持ち、仕事への愛、家族を持つ心強さと感謝。そんな思いをさりげなく口にするsachikoさんに、ふと、やわらかな女性の横顔を見る。
一度きりの人生を併走するパートナー。自分の背中を押してくれる人や守るべきもの。そんな存在があれば、私たちはより自分らしく生きていけるのかもしれない。



「服に声があるとするなら、ヴィテージってうるさいんです。服自身がめっちゃ主張してますよね? でも、だからこそその服が一緒に着る人のオーラまで上げてくれる」
ヴィンテージの持つクセをsachikoさんは人の魅力のように話す。



「いろんな服があります。のぺっとした服も、うるさい服も。それぞれに個性があって、ないものを互いに補い合う。正解はないし、それは自分が決めたらいいって思うから。そのお手伝いができたら最高だと思っています」



1つ1つに全力の愛を注ぐsachikoさんは、お客さんの手元に届けるまでのメンテナンスにも余念がない。
戦友だと語るミシンを操る、丁寧な手元と優しい眼差し。
大切に愛された1着は、それを身につける者の自信につながる。
sachikoさんは、ラヴィールルヴァンは、そんな説得力を纏っていた。



装いに人が出るなんていうけれど、その“人”はつまるところ“生き方”なんじゃないだろうか。
そして、それはそのまま、ここラヴィールルヴァンが愛される理由だと思う。
大人が服を選ぶ時、それは生き方を選ぶのに近い気がするからだ。
これを着る自分はこんな自分でいたい。生き方が滲む服、生き方になる1着。



sachikoさんは、百来ちゃんの誕生についても語ってくれた。
「持病の事もあり、妊娠は難しいと言われていました。でも、仕事に打ち込みながらも、やっぱり諦めたくないと思って…。今ここで一緒にお店に立っていることはとても信じ難く、毎日夢だったんじゃないかと思うほどです」



「新発見の連続で、子育てってすごく楽しい。そういう変化はセレクトや内装の工夫にも出てくるようになりましたね。妊娠中や授乳中でも着られる服とか、ママが子どもと一緒に来られるお店だったらいいなとか…」
どうしても着る服が選ばれる悔しさ、試着ができないもどかしさ。
妊娠中や子連れの苦悩は、1人目の時に痛いほど感じた。
ファッションが女性の心に与える影響を痛感したのもその時だった。
子どもを産んでも、私は私。どんな時も自分らしくいたい。
ラヴィールルヴァンに、おしゃれなママが多く集う理由もよくわかった。



自分のお店を持つこと、子どもを授かること、家族と生きること。
そして、いつまでも自分らしく、輝いて生きていくこと。
sachikoさんはお店に立ち続けることで、自らの生き方を通してそんなメッセージを発信しているように感じた



駆け抜けてきた人にしか見られない景色があって、見せられない景色がある。
ラヴィールルヴァンを訪れて思ったのはそんなことだ。
そして、sachikoさんが選び抜いたいくつものアイテムの中から、私は私の目で、私の生き方になっていく服をいくつか選んだ。
30歳のライターであり、母である私が、娘の手を握り、息子を抱いて歩む、これからの生き方になっていく服。



太陽が昇る数だけ、私たちは歳をとる。
大きなお腹と大好きな古着を抱えて、少し先の楽しみに思いを馳せた帰り道、も、もう過去だ。
命は生まれ、私は二児の母になり、sachikoさんは今日も百来ちゃんとお店に立っている。
いつだって昨日を捨てて、今日の、今を生きる最新の私たち。
そんな“生き方”になる1着が、ラヴィールルヴァンならきっと、見つかると思う。


ワンピース各 14800円+tax


デニム 14800円+tax


ワンピース 39800円+tax


sachikoさんが新たにスタートさせた、ラヴィールルヴァンのキッズ&ママライン「RABILUBA」の新作たち

  


Edit:Namiko Azuma(ASOBISYSTEM)
Text:Miiki Sugita
Design:Yuko Abe(ASOBISYSTEM)

INFORMATION

 

RAVIRLEVANT (ラヴィールルヴァン)
住所:大阪市中央区西心斎橋2-1-12アートプラザB1F
営業時間:13:00〜18:00
定休日:水・木・金(※土日月火のみ営業)
Instagram:@ravirlevant @sachikop